交通事故における「非該当」とは

「非該当」,すなわち,加害者加入の自賠責保険に被害者請求を行った結果,あるいは加害者側保険会社の事前認定の結果,残念ながら自賠責保険の後遺障害等級に該当しなかった方であっても,傷害部分の示談交渉が残っています。

傷害部分の損害費目としては,①治療費等,②入院雑費,③通院交通費,④休業損害,⑤入通院慰謝料などがあります。

このうち,①治療費等と③通院交通費については実費が計上されます。また,④「給与所得者」にあたる方の休業損害は,通常,「休業損害証明書」の記載をもとに算定されます。そのため,これらの損害費目については交渉の余地は少ないかもしれません。

しかし,その余の損害費目については弁護士による交渉により増額を得られる余地は十分あります。

交渉によって増額する可能性

まず,②入院雑費については,1日あたりの定額で算定しますが,その基準額が,いわゆる「任意保険会社支払基準」と「地裁基準」とで異なる場合があります。⑤入通院慰謝料についても同様です。 これらの損害費目については,弁護士にご依頼いただければ相応の増額を得ることが可能です。

また,④「給与所得者」以外の休業損害については弁護士による交渉が重要となります。 特に,お仕事をしながら家事を行っておられる「兼業主婦(夫)」の場合,保険会社は少ないパート収入を基礎として休業損害を算定するケースが散見されます。 しかし,「兼業主婦(夫)」の場合,実際の収入と賃金センサス(女性・学歴計・全年齢)のうち高額な方を基礎収入として休業損害を算定することが裁判例でも認められているのです。

各損害費目の金額は納得できるが,過失割合が納得いかないという方もおられるかと思われます。 過失割合についても,弁護士にご依頼いただけましたら,別冊判例タイムズ16「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」(いわゆる「過失本」)のみならず,類似事例についての裁判例などを精査し,説得的な交渉を展開していきます。

弁護士費用について

ただ,非該当の方の場合,弁護士に依頼する上で最も障害となるのは弁護士費用であると思われます。せっかく増額を得ることができたとしても,弁護士に費用を支払った結果マイナスとなっしまっては元も子もありません。 当事務所では,非該当の方の費用は,経済的合理性を見極めつつ,柔軟にご相談させていただいております。

残念ながら,自賠責保険の後遺障害等級に該当しなかった「非該当」の方であっても,必ずやお力になれると考えております。