40代男性
事故態様:バイクを運転して通勤中、乗用車から衝突を受けた事故で、事故後2、3週間意識不明となられた
受傷部位:顔面醜状、片眼失明
獲得等級:7級4号(高次脳機能障害)
受任に至る経緯
事故から1年くらい経過した頃、当事務所の相談会に来られました。その頃には職場にもある程度復帰されていました。顔面醜状痕、片眼失明等が後遺障害等級に該当すると見込まれる事案ではありましたが、相談会に来られて、事故後意識不明の期間が長かったことや、面談時のお話しぶりなどから、高次脳機能障害の疑いが持たれました。ご家族など周りの方も、事故後の性格変化などには気付いておられたものの、「高次脳機能障害」ということについては全く考えたこともなかったとのことです。
受任後の対応
われわれが受任し、脳神経の専門病院で検査を受けていただいたところ、高次脳機能障害と診断され、自賠責の後遺障害等級では7級4号に該当すると認定されました。
その他の部位の後遺障害と併せて併合5級となり、5級そのものの労働能力喪失率(79%)をベースとした示談交渉を行うことができました。
高次脳機能障害が認定されなくても、その他の部位の後遺障害で等級としては併合5級となった事案ですが、79%の労働能力喪失率をベースとした示談交渉はまずできなかったでしょう。高次脳機能障害以外で最も高い等級がついたものが、顔面醜状痕(7級12号)だったので、労働能力には関係しないとされやすいためです。交渉のベースは、片眼失明の8級相当(45%程度)の喪失率が最大限だったでしょう。高次脳機能障害が「発見」されたことで、認められる逸失利益は2000万円以上も上がったものと思われます。
被害者の方は、勤務先を解雇にこそなりませんでしたが、働き盛りの年齢で将来の可能性が大きく閉ざされることとなってしまわれました。
高次脳機能障害の「発見」が、その不幸をいくらかでもカヴァーできるような示談成立に向けて功を奏したのです。